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iBankマーケティング永吉社長の挑戦ーなぜ地方銀行がデジタルマーケに挑んだか?

2016年7月22日、ふくおかフィナンシャルグループのグループ会社であるiBankマーケティング(以下、iBank社)がリリースしたお金管理アプリ「Wallet+」と情報コンテンツ配信サービス「mymo」は、地方銀行が挑むデジタルマーケティング活用事業として、大きなインパクトをもたらしました。開始2ヶ月半でユーザー数1万人を獲得し、現在はその数2万人を突破しています。

wallet+の詳細情報はこちらからご覧いただけます。

デジタルマーケティングは、現在様々な企業や自治体が取り組み始めていますが、銀行が自らマーケティング会社を設立し、デジタルマーケティングのプラットフォームを構築している例はありません。地方銀行がデジタルマーケティング事業に乗り出した理由とはーー株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 営業戦略部 iBank事業室室長 兼 iBankマーケティング株式会社 代表取締役の永吉健一氏に伺いました。


10年後、20年後、30年後、地方銀行が生き残るために

永吉社長が銀行とデジタルの可能性について考え始めたのは、今から約3年前のこと。マイナス金利が叫ばれ、少子高齢化による人口減少が懸念される状況の中、永吉社長はこれからの銀行のあり方に大きな危機感を覚えていたといいます。

「人口が減少すれば当然マーケットがシュリンクし、銀行の顧客基盤や収益も小さくなる。10年後、20年後、30年後、地方銀行がどう生き残っていくかが最大の課題でした」と話す永吉社長。競合銀行とのシェア争奪戦や他の地銀との提携といった従来型のアプローチでは限界があると感じ、エリア競争に囚われない、デジタルツールを活用した営業基盤の拡大に乗り出したのです。



これまで銀行が知り得なかった”預金の目的”

iBank社のお金管理アプリ「Wallet+」の最大の特徴は、まず福岡銀行の口座と直結している点。そして、その口座の動きを捉える収支管理機能に留まらず、その先にある夢や目標に向かってお金を貯め、達成度を可視化できる「目的預金」の機能です。

車や住宅の購入、海外旅行……お客さま(ユーザー)が個々に設定する「目的」こそが、銀行におけるデジタルマーケティングの最大の武器だと永吉社長は語ります。

「銀行はこれまで、お客さま(ユーザー)の資産や預金、積み立て額などは分かっても、肝心の預金の”目的”が分からなかった。しかし、『目的預金』の機能を活用すれば、従来は見えなかった預金の目的(=購買対象)や預金の目標額、達成までの時間軸が分かるため、個々のニーズに最も適したプロモーションが可能になるんです。『Wallet+』は、『お客さま(ユーザー)』と『企業(=パートナー)』とを結び付けることで、地域のステークホルダー同士が新たな価値を共創する基盤(プラットフォーム)になることを目指しています」

また、目的預金の進み具合に応じて段階的な商材提案も可能に。カーディーラーや旅行会社などのパートナー企業にしてみれば、何よりも欲しい情報でしょう。



"非金融"のコンテンツマーケティングに力を入れる理由

このマーケティングデータの精度をさらに上げるのが、旅行、車、住まい、子育てなどのライフイベントを喚起する情報や、日常のライフスタイルをより「オトク」により「賢く」過ごすための情報を発信する、情報コンテンツ配信サービス「mymo[マイモ]」です。

ちょっとおトクで、ちょっと賢い mymo [マイモ]  はこちらからご覧いただけます。

並んだ記事のタイトルは一見銀行とは縁遠く思えます。しかし、永吉社長がこのコンテンツマーケティングに力を入れるのは、ユーザーが読んだ記事の裏に、その人の興味関心、ひいては消費欲求が隠れているからに他なりません。

「目的預金で‟車を買う“とだけ設定している人がいるとします。もしその人が『mymo』で、外車や高級車、あるいは高級時計などの記事を中心に読んでいるなら、その方のお目当ての車は軽自動車ではなく外車である可能性が高いかもしれません。閲覧履歴から、興味関心、趣味嗜好、生活スタイルなどを推測することで、パートナー企業はより効果的なプロモーションを行うことができるのです」

さらに、記事の完読率や離脱点、滞在時間なども分析。「Wallet+」のコンテンツ閲覧データと合わせることで、より個々の関心にマッチした情報発信が可能になるといいます。



すべてのコンテンツは、消費・貯蓄行動へのキッカケ作り

また、「mymo」は、お客さま(ユーザー)自身に消費欲求を抱かせる点でも効果的。たとえば、漠然と旅行に興味はあったが、新しいキャンプのスタイルを紹介する記事を読んで体験したくなったーー。新しい「Wallet+」が日常の消費や貯金額を”見える化”するものだとすれば、「mymo」は消費・貯蓄の目的が”見つかる”機能なのです。

「情報コンテンツは消費・貯蓄行動へのキッカケ作り」だと話す永吉社長。今後は、記事の最後に「貯めるボタン」を設けたいといいます。

「関心とお金の関係をより身近にしたいんです。日本人は欧米人と違って、お金に執着するのを避けがちですが、お金がなくては始まらないこともたくさんある。『やってみたいこと』『価値のあること』『夢』を想起させる『mymo』のコンテンツは、消費・貯蓄行動への抵抗感を軽減させる効果もあると思います」



地銀発デジタルマーケティングの未来

「Wallet+」「mymo」は、全国各地の銀行が活用できる汎用性の高いデジタルサービスだといえます。特に「mymo」は、普遍性のある記事だけでなく、エリア独自の情報を配信することで、より顧客に刺さる質の高いメディアとなるはずです。

「デジタルマーケティングを活用することで、銀行側はお客さま(ユーザー)が本当に望む情報が分かり、お客さま(ユーザー)側は自分の興味関心に合った有益なタイムラインが自動的に構成される。自分に合わない広告は表示されなくなり、ストレスも軽減される。お互いにとってWin-Winのメディアなんです」

デジタルマーケティングの強みについて、永吉社長はこう語ります。

本来の銀行業務とは異なる”非金融”の部分に力を入れたことで、新たな営業基盤と未来の可能性を見出したふくおかフィナンシャルグループ。地銀発のデジタルマーケティングの取り組みは、デジタルチャネルへのシフトに必要性を感じながらも、何から着手してよいのか分からず頭を悩ませている地域の企業にとって、消費者との繋がりを強めるヒントになりそうです。